引きこもりから→初仕事の時のチェリオの話

引きこもりから→初仕事の時のチェリオの話

「はぁ~~~(ため息)」

 

S先輩があからさまにため息をついた。

 

(こんなのも出来ないのかよ)

 

腰に手をあてながら、口には出さないが
目線を外したその態度がそう言っていた。

 

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長年の引きこもり生活から

 

29歳になって、初めてハローワークに行った。

専門中退からの履歴書の空白期間が長いため
職員の方に相談すると、

「専門の職員がいますので、そのレクチャーを受けますか?」

と聞かれた。

 

どうやら、なかなか仕事に就けなかった人向けに
アドバイスをしてくれる専任の方がいるよう。

 

無料だし、さっそく受ける事にする。

 

「29歳ですね。ちょうど募集が減るのが30歳からだから、
良かったですよ。」

その言葉に少しホッとする。

「ただ、そうは言っても仕事が決まるまでは何社、いや何十社と受ける可能性があります。」
「気負わず、一つ一つ受けていきましょう。」

 

そうだ、何と言っても仕事歴がない自分は、
やはり就職はいばらの道なんだ。

 

ちょっと楽観的になっていた自分を戒めて、面接を受けに行った。

 

 

2社目で(契約社員ではあるけど)仕事が決まった。

 

専任の方も喜んでいたから、割とラッキーだったんだろう。

 

家に帰って両親に報告したら、安堵の表情だったし
なによりも自分が一番安心した。

 

 

引きこもり後の初仕事とS先輩

 

職場は地元の大手タイヤメーカー。
バス1本で30分弱なので、通勤も楽。

初日から2日ぐらいは、顔合わせと仕事の概要やら何やらで
すぐに過ぎていった。

 

3日目、担当が決定。
そこは2人1組で行う作業で、”新人”の私は
元から担当していた先輩(S先輩)とコンビになった。

S先輩は、年齢はわたしより少し上の30代。
おしゃべり好きだけど、話が面白くないタイプ。
(仕事はできる)

 

担当する製品について説明すると、石油を運ぶためのゴムのでかいホースが製品。
4~5mぐらいのホースを梱包できるようにするため、
ホース本体をラップのような物でぐるぐる巻きにして、
両端に円形の木の板を取り付けて蓋をする。

ラップを巻くときは二人でホースを挟んで立ち、
でかいラップを渡しながら巻いていく。
呼吸が合わないとラップがゆるんで梱包に隙間ができてしまうので、
お互いのコンビネーションがとても大事な作業だった。

 

担当する場所へ向かい、先輩にあらためて挨拶した。

「はい、どうも。じゃぁ今からやること見せるから、覚えてね~」

早口でそう言うと蓋の取り付けやラップの巻き方を手馴れた手つきで行い、

「はい、これ。じゃ、頼むよ~」

と言って、反対側に回った。

 

いや、無理だろ!

 

案の定うまくできず、もう一度やり方を教えてもらうようにお願いすると、

 

「なに、わかんなかったの?? 1回で覚えてよ。」

 

加えてわたしの手先が不器用なため、なかなかうまく作業が進まない。

 

 

そして、冒頭の状態になった。

 

他の先輩に相談をする

 

そんな状態が1か月ほど続いた。
当然、お互いのコンビネーションが良くなるわけもなく、

わたしはすっかり消耗していった。

 

「やはり、わたしは役に立たない人間なんだろうか。」
「あの先輩のやり方が社会では当たり前なんだろうか。」

 

そんな事を思っていたある日。

 

業務終了後、休憩所に戻ると
他の先輩(M先輩)が仕事を終えて事務作業をしていた。

M先輩は、とても穏やかで面倒見が良く、しかも仕事ができる人。
配属初日も緊張しているわたしに声をかけてくれた。

他に人がいなかったこともあり、M先輩に

「もうあの人と組むのは無理です・・・」

と伝えた。

 

「甘い」

 

と言われるかもしれない。
そう覚悟していたが、M先輩が

「あ・・・やっぱり、そうだよね。」

どうやら、配置を決めた作業長以外
そう思っていたようだった。

そこからM先輩が周囲にもフォローするように
声をかけてくれた。

そのおかげでだいぶ心に余裕ができて、
仕事もスムーズにできるようになってきた。

 

慣れてきたこともあり、仕事後に軽く休憩所で
何人かで話をすることも増えてきた。(S先輩以外)

 

チェリオ

 

そんな仕事後、S先輩の話になった。

「あいつは、チェリオだからな~」

と他の先輩が言っていた。

 

チェリオと聞いて思い出すのが、
飲料メーカーのチェリオ。

このいかにも着色料満載、身体に悪そうで甘い飲み物がチェリオ。

 

そうか、S先輩はこれが好きで、だいぶ心身に影響が出ているんだろうな。
だからあんな性格なんだな。

いや、まて思い込みはダメだ。由来を聞いてみよう。

 

「チェリオ・・・ですか?飲み物の?」

 

 

 「いやいや、チェリーボーイのチェリ夫」 

 

そっちか。

 

確かに、思い当たるフシはある。
みんな(S先輩も)で雑談していると、男ばかりなので
女性についての話にもなることがある。

そんなとき、S先輩はまったく話に入ってこない。
他の話題の時はしゃべりすぎるぐらいなのに。
うなずくでもなく、関心なさそうにしている。

 

そうか、チェリ夫か。
なら、しょうがないか。

 

急に、おかしくなって、S先輩への怒りはどうでも良くなった。

 

まとめ

 

たぶん、ものすごく嫌な人っているし、
しかもどうしても関わらなくてはいけないときもある。

 

そんな時は、
信頼できる人に相談してみる。

 

あとは、相手も「チェリ夫」かもしれない、
と思う。

 

これで、少し気が楽になるかも( ´∀` )

 

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